なみだ

利用者さんの自宅を訪問すると、テレビを見ながらな目にいっぱいの涙を溜めていた。
挨拶もそこそこに、どうしたのか尋ねると、「かわいそうで、かわいそうで…もごいな~(残酷だな)」と話す。

テレビを見ると、ちょうど西日本豪雨災害のニュースで若い警察官の遺体が見つかったと流れていた。

「早いうちに、見つかって良かったね」
私の素直な気持ちだった。
遺体の腐敗や、傷んだ遺体を見る辛さは良く分かっていたからだ。

どうやら、この警察官と自分の息子を重ねてしまったらしい。
地元の消防団をしていて、東日本大震災の時に避難誘導中に殉職した息子さん。

「向こうは大変だ。泥水だもん。海の水とは違う…。臭いだろう、泥吐きも大変だろう。こっちは、瓦礫もなかったから片付けなんて考えなかったから…」


今困っている人に何もしてやれないと、また涙を流す。

見えなくなった目で、テレビをしっかり見てた。

避難生活の長期化で、服薬と食事がうまく行かず持病の糖尿病が悪化。
失明してしまった。
腎臓まで負担がきて、人工透析となった。

それでも、何かしてあげたいと言う。
ひとりの想いは小さいが、皆で想いを紡いでいこう。

あまり、放送もされなくなったけどまだまだ支援は必要なのです。